アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、湿疹のように皮膚の炎症を伴うもののうち、アレルギー反応と関連があるものを指します。
アトピーという言葉の由来は「場所が不特定」という意味のギリシャ語「アトポス」からで、日本においては慣用的に「アトピー」のみで皮膚炎のことを指すことが多いようです。
アトピー性皮膚炎は、アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患とされています。
患者の約8割は5歳までの幼児期に発症するため、学童期に自然治癒すると考えられていましたが、成人まで継続する例や、成人してからの発症・再発の例が近年増加しています。
発症の原因はいまだに不明ですが、アトピー性皮膚炎は、家族内発生がみられること、他のアレルギー疾患の病歴を持つ場合が多いことなどから遺伝的要因が示唆されます。したがって、皮膚が乾燥しやすいなどのアトピー素因を多くの患者が持っていますが、これは炎症の結果ではなく、独立した要素であると考えられています。
その一方で、遺伝病のように特定の遺伝子が発症の有無を決定的に左右するものでもないとされています。さらに、近代化に従って数十年単位で患者数が増加していること、環境の変化によって急激に発疹・痒みの症状が悪化しやすいなどの理由から、遺伝的要因だけでは説明できない事例も多く、環境要因も非常に大きいと考えられています。